ひさしぶりの好天にもかかわらずイマイチ調子の出ない一日でした.

昨晩はくにゃくにゃしていたら 2 時になってしまい,アラームかけずに寝たら 11 時近くでだいぶショックです.お外は昨日と打って変わってピカピカ天気 ☀️ だったのもダメージに拍車をかけていました.

起きてからもしばらくはイマイチ元気が出なかったので,なんらかのセールで安くなっていたときに買った涼宮ハルヒの憂鬱をめちゃくちゃいまさら読みました.みなさんはハレ晴れユカイを踊れる……ということもなく,むしろそういうことをやっているライトサイドのおたくたちをよどんだ瞳で見つめていた側だと思いますがどうですか?もうほんとうに今更だしこれだけ大ヒットした名作をつかまえてなにかいう必要はないのですが,やっぱりビビるくらいおもしろいしあと完成度の高さが半端ではない.たった一巻で団員全員のバックグラウンドを説明しつつ涼宮ハルヒの存在を文字通り中心にしたドラマも一通り持たせているのがほんとうにすごいというほかありません.決して忙しないという印象でもないのに,改めて思い返すとエピソードの濃度がただごとではない!委員長を砂にした時点でまだ半分くらいしか進んでいないというのはかなり衝撃です.ハルヒを中心にした作中世界の濃度というかとにかくそういうものなのだと納得させる強烈なパワーが溢れていて,これは満場一致でスニーカー大賞取ったのも頷けるというものです.あとこれは個人的な好みですが,高校を舞台にしたラノベの一作目ってだいたい 4〜5 月のまだ微妙にみんなが馴染みきっていない時期を舞台に(一巻で終わっても良いように?)単発エピソードできれいにオトすということが多くて,この作品もその類に漏れずラストの方独特の空気をまとっていたのもよかったです.とらドラ!の電柱ボコボコにするくだりとかベン・トーのふたりきりの部室でおべんとうたべるシーンとかなんかが典型的だと思いますけど,妙に青臭いわりに決して気恥ずかしいだけではない,全作通読しても二度と出てこない独特な空気が支配しているのでとくに印象に残ります.

またこれも言うまでもないこととして,いとうのいぢのイラストよすぎ.カラーの質感はまあ,時代だね〜という感じではあるんですけど,合間合間に挟まれるモノクロの挿絵がほんとうにカッコいいです.90 年代のテイストがわずかに香るバッキバキのメリハリ効いた線で,作中における美形としての説得力がすごい.ぜったいに眉だけは描いてみせるという意志を強く感じるのもアツいです.ゼロの使い魔とかでは表紙とかカラーと比して挿絵は線もろくにとじてなかったりとかなりテキトーな感じだったのでよけいに印象残りますね.ていうかもうゆらりと迫る朝倉さんの妙な迫力でおれはもう…….微妙にみくるの衣装が作中とちがっていたりするのも味わい深いですね.こういう挿絵と本文描写の齟齬ってゼロの使い魔とかでもあった気がしますけど,現代のライトノベルでもふつうにあるんでしょうか.そしてラノベ黄金期の作品って作家のひとはあんまりみなくなることが多いわりにイラストレーターのひとはだいたいその後も大活躍しているのはちょっとだけなんらかのなにかを感じますが,…….一作目でこうも作風が完成されていると,むしろ直観でしっかりとトレンドを押さえカワイくもなんかフツウになってしまったのがけっこうショックかもしれません.

あとあらためて読むとわりとまっとうにジュブナイル SF やろうとしている原作にくらべてエニメはだいぶオタクナイズされているというか,エニメを通じて構築されるハルヒ像というのが原作の空気感とだいぶ距離あっていまさらながら当時原作ファンの中には反発したひともいるのではないかと心配になってしまいました.ポスト綾波レイとして?熱狂の中に新たなヒロイン像を確立した長門有希の描かれ方であるとかじめじめ勢究極の夢であるギターヒーローとしての側面を強調した文化祭の演出とかもそうですけど,中でも「おたく」文化に関する描写で原作とエニメとの差異が顕著になっていると思います.原作ではあくまでフツウでないあらゆるものごとに興味を示すハルヒが未知の文化のひとつとして客観的な視点から「こういうものがあるらしい」と記号化された萌えを引用するのに対して,エニメの方ではおもな視聴者層であるオタクが主体として投影できるよう登場人物がみんなだいぶオタク文化に歩み寄っていて,すでに内在化された文化の内側から萌えを語っているような違和感があります.作中セリフが挿入されまくるあまりにもオタクすぎるキャラクターソングの数々や,(ミニアニメの主題歌とはいえ)ネットスラングそのものをうたう団員たちの姿と一巻時点で「ポニーテール萌え」というようにあくまでフェティシズムの延長として萌えを引用するキョンの姿はちょっと同一のものとは思えない.どちらがよい悪いとかの話ではなくて,むしろたった数年の間に理解しがたいが興味深い異文化としてのおたくから社会的に承認されたひとつの立場,文化としてのオタクへと変遷していった過程を見るようで興味深いです.ほかにも作中キョンが「俺はまだ人生に執着がある」と独白するシーンがあって,これもエニメやその後のオタク文化内で引用されるキョン像に慣れていた身にはかなり衝撃でした.あんまりうまく言えないが,その後あまたのオタクたちが自らを投影しようと試みたいわゆるやれやれ系の系譜からはまだだいぶ遠いというか,人生に執着があることを認められる態度はみんなが欲するやれやれスタイルとはまだちょっと離れたところにあるのではないでしょうか.

というかホントはそんな小癪なことはどうでもよくて,全国のさまざまな高校大学に SOS 団と名のつく団体がつくられまくったという話がマジで好きすぎてもうそれでいいです.結局みんな(やれやれ系や冷笑といった態度によって一応はメインストリームから距離を取りつつも)なんだかんだワイワイ文化祭的なことはやりたい,気の置けない仲間たちと青春はしたいという根本的な欲求があって,それがハレ晴れユカイダンスや文化祭での God Knows... 演奏というきっかけによって花開いたのだとしたらなんというかすごくほほえましくおだやかな気持ちになります.いいじゃないですか,そういうことをやりたいと感じて,実際に成功するかどうかはともかく実践できるひとはそれだけでやっぱりすごいしどんどんやるべきだし,なんだったらおれが見習うべきはそういう当事者として渦の中に飛び込んでしまう心意気なのだとさえ思います.また同時に,当人がそういう欲望をあからさまに肯定し,それを周囲も決して指差し笑うことなく目指すところは同じであると知って互いに応援し合うことができればかつてのオタク ─ リア充,あるいは現代の陽キャ ─ 陰キャというしょうもない対立もなかったのでしょうか.どこかに全国の SOS 団の分派をまとめていたサイトがあったはずですが,今日調べたらどうも消えているっぽくてややショックです.

という感じでまったりしていたらあっというまに正午を回ってしまったので,台所周りをおそうじしたあとはひさしぶりのおさんぽに繰り出しました.かなり気温も上がって初夏まっさかりという感じの気候で爽快です.ここしばらく妙におさんぽから遠のいてしまっていたので,夏本番を迎える前に積極的にスタスタしていきたいものですね.道中メンマ用と銘打って背の丈ほどもあるタケノコ売っていてかなりなやみましたがどうあっても持て余す未来しか見えないので泣く泣くあきらめました.帰ってからはきのうできなかったおそうじを終わらせて,晩はきたるくつうの衝撃に備えて鶏むねをゆで甘夏をマーマレードにし昨日のリベンジもこめて麦ごはんを炊き,久しぶりにかつおを土佐造りにするところもやりました.土佐造りって手順としては簡単でしかもエンタメ性がありあげくおいしいという完璧なりょうりなのでシーズンのうちにたくさん練習しておきたいです.あとこの時期にかつお食べると竜とそばかすの姫に対する憎しみがふたたび燃え上がるのを感じます.調子乗って生のニンニクがぶがぶ食べてたらしっかりおなかこわしてしまいました.

以上です.タバコや路地裏薬物傷に死といったすっかり漂白された退廃のアイコンだけでなく,ぽかぽかお天気やきれいなお花もエモいと評される時代がくるとよいですね(もう何千年もそうだったろというのはそうかもしれませんが).どうもありがとうございました