あいかわらず雨が降ったり止んだりなうえ蒸し暑いいいとこのない天気で,やっぱりちょっとぐったりがつづくなつやすみっ ☀️ 六日めでした.
昨晩はホゲーとしていたらまたも 2 時ちかくになってしまい, 9 時に目がさめたのでそのまま起きました.あいかわらず目が覚めたからといってげんきというわけではなく,それどころかこの起き方だと日中もなぜかおひるねできなくなってしまうので最悪です.
起きてからは昨日作ったトマトソースをケッカソースっぽくアレンジして鋼のような硬さのバゲットとあわせて食べました.一緒に紅茶も飲もうと思っていたらなんと茶葉がなく,泣く泣くアイスコーヒーと食べたら意外と相性は悪くなかったです.
ところでケッカソースの「ケッカ」とはいったいなんなんでしょうか.食べながら調べてみるとこんな質問がみつかりました:
イタリア料理で冷たいトマトソースを表す言葉として「ケッカソー… - 人力検索はてな
2004 年当時の web 検索がどのようなものであったかが垣間見えてほんとうに興奮してしまいますね.質問者のひとが見せる驚異的な粘りもかなり魅力です.それはともかくこの質問から 20 年近く経ついまなら電脳世界からでももう少し真実に近づけるのではないでしょうか.そう思ってすこしだけしらべ学習をしてみましたが,結論からいうと確定的な説はみつけられませんでした.
まず大前提として,わたくしがケッカソースを知ったのはこのレシピ本です(文章だるいですがこのとおりにつくるとたしかにご家庭イタリアンの一歩先にすすめるのでけっこうおすすめです):
この本の p.59 には
ケッカソースとは、トマト(ケッカ)の冷たいソースです
とあるので ケッカ Checca =トマトを指すのでしょうか.イタリア語で checca とはどういう意味の単語かをしらべてみます.手元に伊和辞典など気が利いたものはないのでとりあえず安易にぐぐってみると:
- checca | translate Italian to English - Cambridge Dictionary
- CHECCA - Translation in English - bab.la
どうも基本的にホモセクシュアルな男性……それも日本語でいうところの「おかま」や「ホモ」といった侮蔑的ニュアンスをふくむことばである,との定義が大勢にみえます.むろんスラングや方言を網羅できるはずもないのでごくかぎられた地方で異なる意味を持つ可能性はじゅうぶんありますが,そうなってくると片手間の検索だけではむずかしい.単語から意味を探るのはあきらめてレシピ名のほうからしらべてみることにします.イタリア料理といえば暗殺者風パスタ spaghetti all'assassina など変わった名前のもののありますから,できごとに由来したやや直感的でない名前である可能性はじゅうぶんありそうです.ところがいざしらべてみるとこちらもけっこう泥沼で,いろいろなひとがいろいろなことを言っており確実な記述は見つけられませんでした.せっかくなので見つけた説についてまとめてみます.
まずひとつめの説が checca に「うるさい」「賑やか」という意味があるとし,おいしすぎて騒がしくなるから・げんきになるからこの名前がついた,というものです.この説は以下のサイトでみつかりました:
checca にうるさいという意味があるとし,うるさくなるほどおいしいという説を紹介しています(レシピへの直リンクできないらしいのでキミの目でたしかめてくれ!).正確なタイムスタンプがみつからないですが meta タグみるかぎり 2003 年ごろのエディタで作られているのでそのあたりでしょうか.引用……というかほとんどそのまま転記しているサイトもたくさんあり,電脳世界における「うるさい」由来説の出どころとしてはけっこう有力な気がします.
checca は「うるさい」ではなく「賑やかな様子」をあらわすことばであり,食べるとげんきが出るからという説です.イタリアでシェフやってるひとのいうことですから信憑性がありそうですが,タイムスタンプは 2022 年なのでかなり新説といえるかもしれません.魚にかけるのもおいしそうですね
ふたつめの説は checca の意味自体は辞書通り「おかま」であるが,それがパスタの材料や状態に由来するというものです.詳細は微妙に異なりますが,以下のサイトに似たような記述を発見しました:
めずらしく出典がありますね.10 年ほどまえに同様の謎を追っていたサイトらしく,ここではケッカソースに使うフェンネル finocchio にも 「おかま」の意味があることからレシピ名には同義語である checca をあてがったということで結論づけています.なにげに冒頭のレシピで紹介されていたブルスケッタについても
ブルスケッタ・アッラ・ケッカは日本だけの使い方らしい
と書かれているのがアツいです.
Pasta alla Checca ローマの夏の風物詩 フレッシュトマトとバジリコの冷製パスタ アッラ ケッカ - Osteria Abebeeno
こちらのサイトでは pasta alla checca が冷たいソースとゆでたてのパスタをあわせたぬるい状態で供されることから,どっちつかずの状態を「おかま」であると表現したという説が支持されています.フェンネルシードを使うからという説についても触れられているので材料説もありそうです.
ここでは checca が「おかま」を指すようになった由来についていくつかの説が紹介されています.ひとつがローマで checca と呼ばれる重たい氷塊を小股で運ぶ様子がまるでスカートをはいているよう,というところから「おかま」を指すスラングへと転じた説,もうひとつが氷菓を売っていた Francesco という男性が女性っぽく,その愛称である checco の女性形 checca が「おかま」の総称となった説.いずれも冷たいソースが氷にかかわる単語の checca と結びついたいっぽうで checca という単語自体が「おかま」というスラングに転じたという流れです.感覚としてはちょっとすっきりしないですが,真の由来は往々にしてあんまりキレイじゃないものです.あとソース自体は冷たいですがレシピとしてはいうほど冷たくないはずなのでその辺りもちょっと疑問が残りますね.
第三の説はシンプルに人名に由来するというものです.
Ameba ブログらしい改行っぷりでよみづらいですがいちおう出典の記載もある例です.「おかま」由来説・「うるさい」由来説のどちらも紹介されているだけでなく,冒頭で紹介したレシピに関する記述もあるのでなかなか網羅的です.途中で紹介されている片岡さんの「パスタ歳時記」というのはこの本でしょうか.
パスタ歳時記―独創の 90 品に秘められた料理のこころ (講談社ニューハードカバー) | 片岡 護 |本 | 通販 | Amazon
中古で 37 円だったのでとりあえず注文してみました.おそらくこの本にも出典はないと思いますが,かりに「ケッカさん」が由来だとするとあんまりおもしろくないオチですね.
といったところで日本語圏のサイトだけをみても(出典を明記しない孫引きだらけなのもあり)さまざまな説が入り乱れており,どれもありそうではあるが決め手にかける微妙な状態です.英語圏ではどうなのかもかんたんにしらべておわりましょう:
まずは英語とフランス語の wikipedia 項目,中身ゼロだしフランス語版にいたっては英語版の完全コピペだしでなんの参考にもなりませんでした.
ここにきて新説が登場です.今はない "la sora checca" というお店に由来する説・"francesca" という女性シェフの名前に由来する説が紹介されています.かんたんにしらべたかぎりでは電脳世界に "la sora checca" に関する記述がみつけられなかったので言ってみただけという可能性もあります.
ふしぎなことに英語圏だと全体的に「おかま」説に触れているサイトは少なく,どちらかというと固有名詞に由来するという説を支持しているところが多かった気がします.ほんとうはイタリア語でも調べるべきなのでしょうが,わたくしのしらべ力ではそこまで至れませんでした.いちおう一個見つけたものだと
このサイトに "sora checca" という店(上記の "la sora checca" とおなじ店でしょう)に由来する説と「おかま」説にかんする記載がある……はずです.掲載がつい最近(2023 年 7 月)のでコピペの可能性もじゅうぶんありますし,英語圏だといわゆるキュレーション系コピペサイトがどのくらい検索結果を支配しているのかの感覚がつかめないので吟味がむずかしいです.
といったところで,かんたんにしらべただけでも
- 「checca = うるさい」派
- 「checca = にぎやかな」だよ派
- 「checca = おかま」由来派
- ぬるい状態だからだよ派
- フェンネルからきているよ派
- 「checca = 氷」を意味するよ派
- checca さんがつくったよ派
- sora checca で考案されたよ派
とたくさんの説があり,それぞれもっともらしくはありつつもはっきりとした根拠を見つけることはできませんでした.検索窓にごちゃごちゃ打ち込んでいるだけではラチがあかないので今度リファレンスサービスにでもきいてみようと思います.
しかし以前「訛化」ということばの読みをしらべたときもおもったこととして,学術的な意味で連続な真実を見出したいとなったときに電脳世界だけでしらべきるのはほんとうにむずかしい……というよりほぼ不可能なんじゃないかと感じます.べつにこれは最近よくきく検索の品質がどうこうという話ではなく,そもそも誰でも書けて誰でも読めるいまの電脳世界の仕組みじたいが連続な真実とすこぶる相性がわるいのではないか.それでもほんらいは内容の連続性を担保してくれるハイパーリンクという仕組みがあるはずですが,おすすめ機能によってすべてが平滑化されるいまとなってはリンクなんぞだれもたどらないのでぜんぜん意味がない.あるいはもっと素朴におれをふくめたほとんどおおくのひとびとにとってどんな教育をうけようが学術的な読み書きはそもそも不可能であるというだけの話かもしれません.こと料理に関しては知識が失伝しやすいという傾向もありそうです.
って,こんなことやってる場合じゃないじゃないっ!あとはすこしだけ魔力を練っておたく部屋の温湿度を取得するための API をつくったほか,しばしばのぐったりをはさみつつもなんとか大まんがまつりへむけた準備をすすめました.いちおう貼っておきます:
このごにおよんでなおもだネーム?がおわらねーーーーっ!!!!!ながいながい停滞を経て話の大筋はおおむね決まったと信じたいところですが,ここからまたシーンを画面におこして,さらにページの割り付けをかんがえつつコマを割ったりもしなくてはならずコマには基本的に絵や文字が描かれていなくてはならない,そのひとつひとつにたいして技術の介入する余地があり,そしておれはそれらの技術をいっさい持ち合わせていない.そうこうしているうちにも電脳世界のおなじまつりに出るとおぼしきひとびとが着々と成果を公開しているのもめちゃくちゃあせります,ほんとうにトマトソースの由来についてしらべている場合ではなかった.結局今回もしょぼいコピー本になってしまいそうで,いったいいつになったらおれも印刷所に入稿?というやつができるのでしょうか.
晩はおかいものをかねておさんぽに出かけたら駅前のラメーンやさんで冷やし中華がはじまっていて,なんだかどうでもよくなってきたので餃子も頼んですこしだけげんきドリンクをのみました.せめてネーム?が完成するまでは……と思ってましたがこのままだと永遠に完成しないのであきらめます.
本日もおはなはあります:
いつになったらほんとうにおはなになってくれるんだ.
以上です.気づけば 8 月もなつやすみっ ☀️ も折り返してしまいましたね.毎日あついし雨ばっかりでうんざりだしうまくいかないしなんもいいことないし,なんかもうだいぶどうでもよくなってきました.ダメでもカスでもとにかくチャクチャクやる以外の道はない,ないのだが…….どうもありがとうございます