あいかわらずのすさまじい暑さかと思いきや夕方にかけ急速に天候が悪化し夜には雨が降り出すあわただしいおてんきで、睡眠不足に出撃まであってまったく大丈夫ではない一日でした。

昨晩はモタモタオタク・ドロウイングをやっていたらねむりへ向けた手順を終える頃にはもう 2 時前、くたびれているはずなのにぜんぜん寝付けないので新名智「霊感インテグレーション」をよみました。一族を滅ぼした呪いによって死にたくても死ねない主人公多々良数季が死に場所を求めてたどりついた IT 企業ピーエム・ソリューションズにはにはなんだかみょうにオカルトな案件が多く……?というような話で、あの裏ピク作者が絶賛していたらしいといううわさを聞きつけかりにも魔道士としてだまっちゃいられねーとワクワクで読んだら、なんというかだいぶ思っていたのと違う内容でした。いちおう惹句のとおり呪いのプッシュ通知やサーバー神社の祟りといったオカルトっぽい現象がからむ案件を IT 的な解釈で解決していく話ではあるものの、全編とおして「しかしそれが本当に真実なのかは誰にもわかりません……」みたいなところに落ちるのでじゃあオカルトのままでも同じだろうと思ってしまいますし、最終的には現実の複雑な困難をカプセル化せず戦っていきましょう、つまり"実装"ですね!という IT 用語を援用しただけの観念的な話で終わったので「?」と思いながら本を閉じました。IT 業界では隠蔽とかカプセル化をポジティブな意味で使うって自分でゆったじゃん!!!!インターフェース設計や関心の切り方がマズかったという設計の失敗を実装の話にすんな!!!!!!保険証をもらうというのが一種のイニシエーションになっているのはよかったです。

あとこれは半分難癖ですが、IT 要素が前面に押し出されているわりには踏み込みが甘くそこにつられるとかなり肩透かしをくらうなと感じました。たとえば以下の文章:

マイクロサービスのコンテナをクラスタ化してデプロイする技術

この文章からにじみ出るこの先期待できね〜という感じ伝わりますでしょうか。ここは IT 未経験の主人公にエンジニアがなるべく平易なことばで説明しようとして失敗する内容にいっさい関係ない場面なのでどうでもいいが、にしてもなにも言ってなさすぎる。口下手な魔道士が事前知識をもたないひとに向けて説明しようとしているが使っている単語自体に馴染みがなさすぎるので長々喋ったあげく結局意味不明になるやつの再現としてはかなり精度が高いかもしれません。

こういう踏み込みの甘さが物語上のギミックにもあらわれているようにみえる例としては第二話の邪眼コントリビューターも気になりました。インドネシア奥地に紋様の形でつたわる呪われた知識について、それを欲する企業が自社のヘルスケアアプリに紋様の生成機能を搭載して分散総当たりで呪われずに得ようとするのを主人公たちが阻止する、というのが話のロジックとして提示されますが、これをやるならどのパターンをチェックしたかを記録するしくみ、もしくはそれに類する探索空間をせばめるアプローチがないと成立しないのではないか。作中描写的にピーエム・ソリューションズで描画まで実装しているのだからそういった要件は主人公たちが把握していそうだし、いざ実装するとなったときにユーザーと模様ごとに一意の識別子を振りますとかユーザーごとに生成する模様の範囲を決定しますとか言われたらさすがに違和感を覚えそうな気がしてならない。もちろん仕事なのでやりますというのはそれでよいのですが、かりにもオカルトな案件を抱えまくって CTO(chief thaumaturgy officer, うるせーっ!!)までいる会社でなにも気にしないということはあるのだろうかとか考えてしまってすごくモヤモヤします。全編とおしていちおう"ソリューション"らしきものが提示されはするけれどもそれが真実なのかはわからない、という主題が繰り返されるのでこのお話も作中の説明で主人公たちが納得しただけで事実は全然異なる、紋様だ呪いだなんてハナからウソという意図した描写の可能性もありますが、こういう感じで全体的に IT 分野の概念でもってそれらしく説明した感じを出すわりにぜんぜん説得力がなかったのはちょっとざんねんです。あと腕の立つプログラマっぽいひとが include ディレクティブかなんかを「おまじない」と評しているのはほんのちょっとイヤでした。

同時に裏ピクの辻さんでも思ったこととしてオカルトに説明をつけようとする作品でロジックの外にいる呪術系の強キャラが出てくるのはちょっと……いやかなりイヤかもしれません。呪いとか祟りのような理不尽な現象にたいしてたくみなウソをまぜこんだ自然科学の援用でもってそれらしい理由づけをしていくところに気持ちよさがあるはずなのに、謎を謎のまま扱えてしまうキャラクターが出てくるといっきにリアリティのラインが後退するというか、知らんものを知らんもので説明されても困る。辻さんの場合はそんな超然としたキャラクターでさえ裏世界ではしっかり恐怖するというところにおもしろみもあった(最新刊で当然のように中間領域を調伏していたのはどうかと思います)が、今作ではつづきものを想定しているためかあくまでリモート出演だけで掘り下げもなかったのでただただなんなんだよという気持ちになってしまいました。近い話で言うと最後のエピソード、壮大な家と呪いにまつわる話で重要な役割を果たす少年呼びしてきそうなミステリアスなお姉さんがじつのところギャンブル中毒なだけだったみたいな話で終わったのはかなりなにそれ?と思いました。説明のつかない人間のふるまいにたいして依存症とか精神疾患で理由づけした感じを出すのは明確に NO と言うべきなのではないかということを考えていたら就寝は 4 時まえです。集会があったのでなんとか 9 時半には起きましたがほんとうにきつくなってきた、ジョブチェンジするならいつどのようなかたちではたらいてもよいところがよいななどと夢想していしまいますがそんな裁量を持てるほどの能力はないし、なによりそこまでしてたらきたくはありませんね。

こういう日にかぎっていつもより早くからある朝の集会で要領を得ない指摘をモゴモゴつぶやいたらシャワーをあびて出撃です。あまりにだるすぎて家を出るまでの間なんども出撃をあきらめておふとんへもどってしまいそうになりつつもなんとか誘惑に打ち勝ってドアを開けたら即猛暑でさっそくめげそうになりました。この時期は駅までの道中がほんとうにつらい、一回坂を登ってまた降りなくてはいけないのも徒労というかんじでひどくくたびれてしまうし、もちろん電車に乗る頃にはびしょびしょです。

ともかく本部に到着したらいきなり声をかけられて、誰かと思ったらもう何年も一緒に任務をこなしてきたのに会ったことがなかったパーティーのひとでした。やっぱり実際にうごいてしゃべっているところを見ると印象が変わりますね、相手も同じことを思っていたのかイメージと違いますねということも言われて、悪い意味にとるべきか少し悩みましたが無駄なのですぐ考えるのをやめました。唐突だったこともあってぜんぜん準備ができておらず、結局形式的なあいさつをこなしたていどでほとんど雑談できないまま帰っていってしまったのはすこしざんねんだったかもしれません。

とかなんとかやっていたら少し遅くなってしまったのであわてておひるごはん、天ぷらそばの列へならんだらちょうど天ぷらを揚げ直すタイミングだったらしく 10 分ちかく待ったのでくたびれました。こうなっては天ぷらいらんのでおそばだけくださいと思ってしまいますね、おそばはつなぎが多すぎるのか半透明のこんにゃく麺みたいになっていて、まったくおそばではないがなんとなくおいしかったのでよかったです。

食後はいつのまにかこの小さな銀河だけが担当するハメになっていた月一回のかぞえあげを行う魔術のしくみを説明する会もやりました。こういうときにかぎってそこそこレアめであらかじめ検証するのがむずかしい不具合が炸裂していることに気づいてしまって、あわてて修正しましたが結局今月分のかぞえあげは手動でうごかすことになって説明もおぼつかない感じになったのがかなりなさけなかったです。

あとはわりあてられたレビュウをこなしたり引き継いだ任務に追われたりしているうちに時間はどんどんすぎてゆき、結局新魔術の開発はまったくすすみませんでした。ちょっとわらえてくるくらいほんとうにマズイ、なんでこの人数でこれまでどおりのパフォーマンスが発揮できると思ったのか純粋に不思議でしかたありません。この先に控える暗い滅亡の話をしながら駅まで戻り、電車に揺られて帰りました。さすがに帰宅ラッシュの時間は少し過ぎていたのか電車が多少空いていて座れたのはよかったものの、あまりにくたびれすぎておうちに帰ってからはしばらく椅子の上で呆然としてしまいました。こ……こんな日々がこの先も!?

だいぶ出遅れてしまいましたがとにかくごはんを作って明日にそなえなくてはいけません。晩は 2 割引だった生姜焼き用の豚ロースを指示通り生姜焼きにして、長ねぎとわかめのおみそしるといっしょに食べました。生姜焼きはひさしぶりに作ったら粉をはたくのを忘れてしまいましたが、粉がないぶん油を吸わないのでむしろ軽い食べ味で肉の風味が強調されてよかったです。食後には今年はじめての桃を食べたらやっぱり身震いするほどおいしい。今年もたくさん食べたいです

以上です。どうもありがとうございました

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